北海道でDXを進めるあなたを応援!

道内でDXに挑むフロントランナーたち

「DX化と言われても、何から取り組んだら良いか、課題がわからない。」「自社だけではDX化は難しい。専門家に相談したい。」という悩みを持つ事業者様向けに、DX化を推進するサプライヤー / DXを自主的に推進する企業などを紹介します。

DX実践企業レポート

地域企業におけるDXによる社内体制強化

全国的な人口減少、少子高齢化などによる慢性的な人手不足は、道内の製造業においても深刻です。人手不足を解消するためには生産工程等のDX化を進め、IoTをはじめとする先端技術の導入による生産性向上が不可欠です。ものづくりの現場で実際にDX化に踏み切った企業は、どのような取り組みで成果を上げているのでしょうか。1月31日に開かれた「<省力化・自動化>先進事例勉強会〜ものづくり現場の新時代〜」から、道内2社の講演概要を紹介します。

今回紹介する実践企業

萩原建設工業株式会社

社長室業務改革推進グループ

高嶋 利直

「DX化は経営から人材採用までいいことづくめ」

本日は建設現場を未来につなぐDXの進め方として、デジタルを活用した働き方改革への取り組みと、その先で目指すこところをテーマにします。具体的には働き方改革に取り組むことになった経緯、どのように取り組みを見出したか、ここまでの取り組みの成果などについて説明します。

萩原建設工業は帯広を中心に土木工事、建設・建築工事を手がける総合建設業です。創業して105年、帯広で最も古い建設会社になります。従業員は174人。売上150億円程で道内の中堅ゼネコンとの位置づけになります。建設業界は長時間労働、休日出勤の常態化、後継者不足、そして労働力の高齢化など、根深い課題に直面している現状があります。これらの問題に対処するためDXを推進することになりました。

今年から始まる時間外労働の上限規制に適応するためにも、働き方改革を進めることは急務です。従来のやり方を見直して社員の満足度を上げ、会社の競争優位性を高めていかないと生き残っていけません。これまでも働き方改革を進めるため休日を増やすことに取り組んでみましたが、業務の内容は変わらないので負担が大きくなるだけ。根本的な解決には至りませんでした。そこで、副社長をリーダーとした業務改革推進グループを作り、全社的な取り組みを進めることになりました。

DXを推進するにあたり、まずは社内の現状把握のためアンケート調査を実施。「今のままで問題ない」「将来への変化は必要だ」との認識が明らかになりました。もう少し深掘りする必要があると考え、具体的な課題を探る社内ヒアリングを実施しました。今度は人手不足や情報共有不足、リモート環境の不足などさまざまな意見が挙がってきました。

これらの解決を進める最適解は大変難しいものです。DX推進のためには社内だけでなく外部の専門知識も必要と判断し、ノーステック財団が代表機関になっている北海道DX推進協議会の伴走型支援を受けることにしました。伴走型支援はデジタルや経営の専門家による支援チームを結成してもらい、企業と対話や助言を重ねた上で、DXに関わる課題分析や戦略策定を企業が主体的に実施する取り組みです。過去2年間の支援を通じて現場業務の効率化などを柱とするDX戦略の策定、サイバーセキュリティ対策基準の明文化などの取り組みを進めることができました。2023年4月には、経済産業省が定めるDX認証制度に基づく「DX認証」を取得。道内に本社を置く建設事業者として初めての取得となりました。

「取り組みを始めてやっと1周したかなという認識」

次に時間外労働の削減に向けての取り組み状況です。アンケートやヒアリング調査がフェーズ1。フェーズ2では現場の業務を棚卸しして、現場でしかできないことと、現場じゃなくてもできることを切り分けます。ここで導入可能なICT技術は随時取り入れています。フェーズ3は切り分けた業務を本社の社員がリモートでサポートするもの。例えば書類作成の業務の一部を担うようなことで、現在はこのフェーズにおります。社員の人材配置を考えながら取り組んでいます。

具体的なICT技術ですと、スマートフォンで3D測量ができるアプリ開発や遠隔管理できるカメラシステム、3Dで立体的に建築情報を見られるBIM(ビルディングインフォメーションモデリング)を活用しています。作業の効率化や精度の向上に貢献しています。効率性の面では、手が止まってしまう電話の代わりにチャットツールを導入。迅速な情報共有ができるようになりました。今後は現場サイドでも使う予定ですし、勤怠管理ツールの導入も準備中です。社内広報を強化すべく、広報担当社員を新規に採用します。社内報やSNSの取り組みを強化し、社員のDXの取り組みを共有していきたいと考えています。

建設業界を取り巻く問題を解決するためには、デジタルを活用しながら業界の未来をきちんと作っていく必要があります。今までは時間も不規則で危険なこともやっているとのイメージもありました。それがパソコン一つで現場を動かし、パース図や進捗状況はモニター上で視覚的に把握できる仕事になれば、新規採用時でも「かっこいい」「面白そうな仕事」として選んでもらえると思うのです。業務が効率化して現場作業の時間が短くなれば経費も圧縮されて利益も上がります。まさにいいことづくめです。

ただ弊社も、取り組みを始めてやっと1周したかなという認識です。意識改革はすぐには実現しません。便利になった、楽になったとの体験に社員全員がたどり着いているかといえばそうではないからです。ですから5周くらいするころになれば、会社もだいぶ変わっているのではないかなと感じています。DXをはじめとする技術と人間性の調和を追求し、ものづくりの現場で新時代を切り開いて行きます。その先には、従業員と地域の人々が快適に安心して暮らせる未来が広がっていると信じています。

ぜひ
ご相談を!

北海道DX推進協働体では、DXに関する相談窓口を設置しています!

「何から手をつけて良いのかわからない」、「カイゼン指導を受けたい」など、
どんなお悩みでもお気軽にご相談ください。